深水ニシンの個人サイト「あらしののはら」管理用ブログです。
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何やらまとまりがつかないので、景気づけに毎度おなじみのイマイチ信憑性に欠けるレポート記事をば。ちょっと前に友人とのやりとりで書いたものから話題を膨らませてみたものの…… うーん(--;
● 要旨と傍点
『わざぼー』を読んでいると、ときどき見かける傍点。注目してほしい言葉を強調するためだろう、というのはなんとなくわかる。…… そんなに大事な言葉なら、それだけ書きだせば話の要旨がわかるんじゃないか!? というお話。
早速手元にあった6巻から
「みみみとまーとわざぼー」を見てみましょう。
● 要旨と傍点
『わざぼー』を読んでいると、ときどき見かける傍点。注目してほしい言葉を強調するためだろう、というのはなんとなくわかる。…… そんなに大事な言葉なら、それだけ書きだせば話の要旨がわかるんじゃないか!? というお話。
早速手元にあった6巻から
「みみみとまーとわざぼー」を見てみましょう。
* * *
傍点がついている言葉は
“ひとりで”
“怪物”“手の中”“わざぼー”
“だれかのチカラをかりて”
とりあえず書き出してみたものの、これだけではよくわかりません。
どういう意味で使われているのかはっきりさせるため、言葉を含む台詞を抜き出してみると、
A 「アイツ(補注:みみみ)らしいっちゃアイツらしい(略)ひとりで戦いたいなんて」[むむ](注)
B 「ひとりで戦いたいなんて・・・、調子こいてんじゃねェぞォ!!」[まー]
C 「ある怪物を復活させる(略)その怪物とは…兵器! オレの手の中ににぎられている(略)
わざぼーだ! オレのわざぼーの中に…、怪物はねむっているんだ!」[まー]
C’ 「怪物のチカラをかりて… オレはイチバンになるのだぁーっ!!」[まー]
D 「だれかのチカラをかりてイチバンになる―― そんななさけない気持ちのやつ(以下略)」
[みみみ]
・ []内は発話者
・ 作中、傍点がついている部分は太字にした
・ Cは傍点が振られていなくても関連の強そうな台詞も抜き出した
・ C’は傍点が振られた言葉は含まないが、Cの傍点部と関連が強いため ’と記載
ずらずらーっと、所見。Aは<みみみはひとりで戦う>人物だと言っている。Bからは<まーはひとりで戦うのは調子こいてると思っている>ことが伺える。Cは<怪物は手の中のわざぼー>だと言っており、それを<オレ(まー)のわざぼー>に限定して言っている。C’の怪物はCで説明された<怪物= わざぼー>。その力をかりる即ち<まーはひとりでやらない>。Dからは<みみみはひとりでやらないのはなさけないと思っている>ことが伺える。
と、それぞれの台詞が何を言っているかを見てみると、どうやら、まーとみみみは戦いやイチバンになるということに取り組むとき“ひとりで” か、“だれかのチカラをかりて” か、ということで揉めているらしいことがわかる。AC’はそれぞれひとりでやるか、やらないか。BDはそれぞれが自分の選んでいないもう一方のやり方を批判している内容でした。まとめると
【それぞれの取り組む姿勢】
A みみみはひとりでやる
C’ まーはひとりでやらない
【一方のやり方への批判】
D みみみはひとりでやらないのはなさけないと思っている
B まーはひとりでやるのは調子こいてると思っている
つまり、まーVSみみみというのは、殴り合うような身体的なぶつかり合いをする中で、互いの目的に取り組む姿勢をも戦わせており、その場合、2人の台詞から要点を抜き出せば、
ひとりでやらないなさけない奴(まー)VS ひとりでやる調子こいてる奴(みみみ)
という言い争いをしていることがわかる。字面を見てなるほど納得。みみみがまーに勝てると思ったのにも頷けるんじゃないでしょうか? まーが目的達成に取り組む姿勢を知り、みみみは「なさけない気持ち」で「弱い」と思った。みみみがまーに勝ると思える点を見出したことで、反撃の一打を食らわせることができた。
以上より、傍点のついた言葉を含む台詞および、それと関連がつよい台詞を書き出すと、話の展開について説明がつくようになるとは言えそうです。
● 同じことの言い換え
はい…… もう一点、気になること(まだあるのかよ)。
台詞AB、C’Dの言い回しがそれぞれ似通っている! ということ。
ABをみてみると、いずれも<ひとりで戦うみみみ>について言っている台詞です。Aのむむは「アイツらしい」と肯定的で、Bのまーは「調子こいてる」とやや否定的。似た言い回しを使うことで、同じ対象について言っているということがわかりやすいだけでなく、それについての発話者それぞれの認識の違いが際立ちます。むむはみみみに肯定的だけど、まーは否定的だ。それが2人のみみみとの関係性にもそのまま置き換えられる。むむはみみみの味方だけれど、まーは敵対している。(人物関係の話題はトキメキますね!)
では、もう一つC’Dはどうでしょう?
C’ 「怪物のチカラをかりて… オレはイチバンになるのだぁーっ!!」[まー]まーの「怪物」をみみみは「だれか」に置き換えている。「だれか」というと対象を限定しないので、必ずしも、これまで話題に出ていた怪物をさすとは限りません。まーが募る協力者全般をいっているともとれる。だから、だれとは言わないけれど、とにかく<まーはひとりでやらない>ということを指摘したいのでしょう。
D 「だれかのチカラをかりてイチバンになる―― そんななさけない気持ちのやつ(以下略)」
でも、試みにちょっとばかりくどい読み方をしてみます。
―― 「怪物」とは「わざぼー」のことではないか?
C 「ある怪物を復活させる(略)その怪物とは…兵器! オレの手の中ににぎられている(略)Cのまーの台詞も傍点で強調された言葉を含んでいました。ここでは「怪物」は“手の中”ににぎられている“わざぼー”だと言っている。“オレの”手ににぎられたわざぼーに限定する言い方ではあるけれど、傍点が示していないということは、読者に、だれのものかを限定せずに“わざぼーは怪物だ”という理解を導こうとしている狙いがあると思われます。
わざぼーだ! オレのわざぼーの中に…、怪物はねむっているんだ!」[まー]
だから、まーの言う「怪物のチカラ」とは、“わざぼーのチカラ”と言い換えることができるのではないか。そして、その「怪物(= わざぼー)」を「だれか」と言うみみみにとってのわざぼーに対する認識がこの話の肝となる部分なのではないか?
この話のタイトルは「みみみとまーとわざぼー」。
そう! みみみとまーの戦いを描いた話だったけれど、“みみみとまー”だけでなく、これは彼らとわざぼーの関係性も言っている話なんだ!! 先の話にもどすと、みみみは「怪物(= わざぼー)」を「だれか」と言った。だれかとは、自分ではないだれか―― <他者>を示している。みみみにとってわざぼーは<他者>だ、とそういうことを言っていたのではないか!?
*
傍点に注目して話を読むという検証はここまで。確認してきたことをまとめると、
・ 傍点のついた言葉を含む台詞および、それと関連がつよい台詞を書き出すと、
話の展開について説明がつくようになる
・ 別の人物が似た言い回しをしている台詞は、そこで話題にしていることについて発話者
それぞれの認識の違いが伺える。同じ言葉を使う場合もあれば、一方が発した言葉を
受けて他方が一部を言い換える場合もある
ついでに、「みみみとまーとわざぼー」のこともまとめておく。
目的に取り組むとき、みみみはひとりでやる。まーはひとりでやらない。姿勢の違う二人は互いに批判し合っており、みみみはひとりでやらないのはなさけないと思っており、まーはひとりでやるのは調子こいてると思っている。身体能力を戦わせた場合まーが優勢だったが、目的に取り組む姿勢からみみみはまーに勝ると思われる点を見つけたことで反撃の一打をあてることができた。(試論: ひとりでやろうとするみみみは、わざぼーも<他者>だと思っているんじゃなーい?!)という感じになる。
とりあえずは以上。まだまだ続くよ!!
次回は「みみみとわざぼー、まーとわざぼー」 お楽しみにね ノシ
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